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コラム「坤輿万国全図」カーボンニュートラル3

2021.12.2

コラム「坤輿万国全図(こんよばんこくぜんず)」カーボンニュートラル3

(中国)企業の温室効果ガス排出量の算定方法と報告に関するガイドライン(意見請求稿)※1

※1 (HJ □□□□-202□ 企业温室气体排放核算方法与报告指南发电设施(征求意见稿)、 生态环境部办公厅、2020年12月)

「企業の温室効果ガス排出量の算定方法と報告に関するガイドライン(意見請求稿)」について理解したい。中国の標準には、国家標準、地方標準、業界標準及び企業標準の4種類がある。国家標準には、GB:強制性国家標準(適合しない場合には生産・販売・輸入が禁止される規格)、GB/T:推奨性国家標準(日本のJIS規格に相当)、GB/Z:指導性技術文書(ISOやIEC等の国際規格のガイド的文書)がある。地方標準とは、省、自治区、直轄市内の範囲で定められる標準で、「DB××(2桁数値・地域を表す)」と示されている。江蘇省地方標準ならば「DB32」となる。本標準のHJとは政策分野別(業種ごと)に定められている標準で各々の業種において共通の技術仕様規格である。「HJ」とは環境保護等の政策分野を表している。したがって、本標準は業界標準の中の環境保護に関する標準となる。

本標準は、企業の温室効果ガス排出管理を強化するために、炭素排出権取引市場における発電業界の重点排出単位の温室効果ガス排出量を標準化するために策定されている。重点排出単位とは、全国の炭素排出権取引市場が対象としている年間温室効果ガス排出量が二酸化炭素換算で26,000トン(総エネルギー消費量は標準石炭約10,000トン)以上に達する企業又はその他の経済組織としている。温室効果ガスには、一般に二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、ヘキサフルオロカーボン硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)などがあるが、本基準での温室効果ガスは二酸化炭素と示されている。この規格では、発電施設の温室効果ガス排出量算定境界と排出源、化石燃料燃焼排出量算定要件、購入電力排出量算定要件、二酸化炭素総排出量計算、生産データ算定要件、監視計画技術要件、データ品質管理要件、排出量定期報告要件などが規定されている。

二酸化炭素総排出量計算は本標準の8章で以下の通り示されている。

発電設備の二酸化炭素排出量は、化石燃料燃焼による二酸化炭素排出量と購入使用電気による二酸化炭素排出量の和に等しく、附録Aの公式(A.7)の式を採用することと示されている。

E = E燃焼+ E電気  公式(A.7)

ここで、

E:発電施設の二酸化炭素排出量(二酸化炭素(tCO2)の単位)

E燃焼:化石燃料燃焼による二酸化炭素排出量  単位 二酸化炭素(tCO2)

E電気:購入使用電気による二酸化炭素排出量  単位 二酸化炭素(tCO2)

多くの工場の主要エネルギー源は購入電力と思われる。購入使用電気による二酸化炭素排出量の計算は7章に付録A(A.6)の式を使用することと示されている。

E電気= AD電気×EF電気

 

ここで、

E電気 :購入使用電気による二酸化炭素排出量  単位 二酸化炭素(tCO2)

AD電力:購入使用電力量  単位 メガワット時(MWh)

EF 電力:排出係数      単位 メガワット時当りの二酸化炭素(tCO2 / MWh)

 

また、購入電力量のデータは以下の優先順にしたがって取得することと示されている。

a)会社の電力量計によって記録された測定値

b)供給者から提供された電気料金決済証明書のデータ

排出係数は生態環境省が要求する値でなければならないとされている。

参考:

1)「排出係数は0.6101 tCO2 / MWhまたは生態環境省が発行する最新数値を採用すること」と記載された文書(2020年12月)もある。

 

2)温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.7) (令和3年1月)、日本 環境省では、他人から供給された電気の使用によるCO2排出量算定を以下の通り示している。

 

算定式

CO2 排出量(tCO2) = 電気使用量(kWh) × 単位使用量当たりの排出量(tCO2/kWh)

 

排出係数は以下の排出係数を用いて算定することと示されている。

① 電気事業者(小売電気事業者及び一般送配電事業者)から供給された電気を使用している場合は、国が公表する電気事業者ごとの排出係数1 【公表ホームページ】https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc

② 上記以外の者から供給された電気を使用している場合は、①の係数に相当する係数で、実測等に基づく適切な排出係数

③ ①及び②の方法で算定できない場合は、①及び②の係数に代替するものとして環境大臣・ 経済産業大臣が公表する係数(代替値)

 

先日あるお客様から「流機の集塵機を見た。青いマシンは流機でしょうか?」との問合せをいただいた。青色も伝統色の名称が多い。流機の青を何色と表現したら良いか社歴の浅い私には不明であるが、近い色に瑠璃色がある。変成岩に分類されるラピスラズリが放つ色である。この色は中国南京の中山陵(写真1、2)の青瑠璃瓦(るりがわら)屋根でも見ることができた。私が好きな色、収集したい石の一つである。

中山陵(ちゅうざんりょう)とは、は江蘇省南京市玄武区の紫金山に位置する孫中山(孫文)の陵墓である。

写真1左 中山陵に続く道筋。プラタナスの街路樹が整然と並んでいる。写真中:長い参道の奥に、中山陵が見えている。写真右:中山陵の案内板。中国語、英語、韓国語のほかに日本語の案内がある。

写真2 中山陵。沢山の観光客、参拝者がいる。孫文は、民族主義、民権主義、民生主義という三民主義を唱え、これらの言葉(民族、民権、民生)は中山陵の祭堂正面のアーチに彫りこまれている(写真中)。

写真3 ラピスラズリ。青金石(ラズライト)を主成分とする変成岩。日本では瑠璃とも呼ばれていた。写真左は2010年オーストリア・ザルツブルクの地質宝石店にて。写真右は2007年イタリア・フィレンツェの地質宝石店にて。